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滋賀市民新聞(中央政界特報)

平成20年11月11日()第4871号



票固めができるか

 郵政民営化選挙で大挙して当選した小泉チルドレン。その数82人。そのチルドレンが危機に直面している。次の選挙ではたして何人が永田町に戻ってこれるか。

 チルドレンに明日はあるか。
 永田町での見方は「明日はない」だ。
 自民党内からも厳しい見方がされている。それも党のナンバー2の座にある細田博之幹事長がチルドレンを奈落の底に落とすような悲観的な見方をしている。
 「4分の1はいいところまでいっているが、4分の3は危ない」
 ということは再び永田町に戻ってこれそうなのは20人足らずということに。
 まさにチルドレンは総崩れということになりそう。
 細田幹事長は党内にあって「選挙博士」の異名をつけられているほど選挙の票読みに長けている。その「選挙博士」が「危ない」と言っているのだから、まさに危機的状況にある。
 今度の選挙は自民党議員にとってはかつてなく厳しいものになることが予想されている。
 それは各世論調査の結果で明らか。
 若手議員ばかりか大物議員まで厳しい選挙になりそう。
 「ベテラン議員も確実当選できるという自信を持っていないのではないか。閣僚クラスでも危ないという声が聞かれているのだから」(永田町筋)
 これではベテラン議員も自分のことで手が一杯で、チルドレンの応援どころではないというのが実情。
 当選してから3年になるが、どのチルドレンも自分の足元が固まっていない。
 「落下傘降下して当選しているだけに地盤がないも同然」(永田町筋)
そんなところへもってきて、生みの親である小泉純一郎元首相が何の前ぶれもなく突然に引退表明。
 この事実にはチルドレンは声も出ない。
 党内からは追い討ちをかけるような声まで。
 「当選できそうにない者がたくさんいる。候補者を差し替えるべきだ」
 チルドレンのことを指しているのは確か。
 若手議員の中から「解散を先送りしてほしい」と麻生太郎首相に直訴する議員も。
 直訴したのはチルドレンではないが、チルドレンもまさにこの気持ちでいるのでは。

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「下落が止まらない」

 麻生太郎首相が懸命な「露出作戦」を展開している。
 スーパーに顔を出し「物価上昇」を自分の目で確かめたり、自身のプロフィールを網羅したパンフレットを作成したりと。
 「パフォーマンスを得意とした小泉純一郎元首相でも、ここまではやらなかった。悪くいえば、なりふり構わずといった感じ」(永田町筋)
 政権の座に就いて以来、とにかく目立つことにウエイトが置かれている。
 朝、自宅近くのウォーキングも。
 この「露出作戦」だが、いまのところ効果はまだ表れていない。それどころか逆の結果が出ている。
 それというのも支持率の低下、各世論調査が発表されるたびに支持率は低下していくばかり。
 就任直後が一番高く、あとはダウンにつぐダウン。それこそ歯止めがきかないといった感じになっている。
 麻生内閣が支持率をダウンさせているだけではない。政党支持率でも自民党は下落いっぽう。
 自民党を青くさせているのは「民主党中心の政権」のほうが「自民党中心の政権」を上回ってきていること。
 この事実に党執行部は凍りついている。
 このさきさらに難題が控えている。難題をどう乗り切っていくかだが、それによってはさらに支持率の下落は避けられない。
 40パーセントを割ると「危険水域に入る」が永田町の常識。この危険水域に片足を突っ込んでいる。
 麻生首相は支持率を「無視」の構えだが、福田康夫前首相も安倍晋三元首相も、最後は支持率にとどめを刺された。

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「事務所開き」

 永田町の上空は風雲急を告げている。
 河村建夫官房長官が「常在戦場」と言うところを「常在選挙」と言い間違えるほど。
 「与野党とも完全に浮き足立っている。これかたさらにあわただしさを増してくることになるだろう」(永田町筋)
 あわただしさといえば自民党幹部もつぎつぎに事務所開きを。
 麻生太郎首相がまず地元、福岡県飯塚市に。麻生首相が社長をしていた麻生グループ旧本社跡に立てられた立体駐車場の1階に。
 森喜朗元首相が事務所を開いたのは10月13日。
 細田博之幹事長も10月10日に開いている。
 事務所を開くと、その日から事務所の賃貸料、人件費などが必要になってくる。
 戦いの期間が長くなると、この面から悲鳴があがってくる。現に若手議員は事務所維持で大変。
 「いつまで持ちこたえられるか」
 そんな声があちこちから。これは自民党議員、民主党議員にかかわらずだ。
 まさに体力勝負といった感じになっている。はやくも疲労こんぱいとばかり、目の下にクマが出てきている議員も。
 「資金が豊富な幹部はともかく、1年生議員は死活問題に。党からの政治資金が頼り」(永田町筋)
 総務省が公表した政党別の07年の収入は自民党が687億円、民主党が257億円、公明党が272億円、共産党が577億円、社民党が39億円、国民新党が24億円、新党日本が2億円となっている。
 新党日本を除いてどの党も収入は増えている。

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「その後の小泉元首相」

 小泉純一郎元首相が今期限りでの政界引退を表明したのは麻生太郎首相が国連総会での演説のため渡米していた9月25日。
 その後の小泉元首相だが、次男の進次郎氏を後継に指名。
 「変人が普通の人になった」と親ばかぶりを発揮。
 「私から見ても頼もしい。私の27歳のときよりしっかりしている」
 親ばかぶりに失望する声は多い。
 だが、小泉元首相はそういった声をまったく気にしていない。
 口を開けば進次郎氏の自慢話。
 そんな小泉元首相だが、やはり「人気」を頼りにされている。
 10月14日には神奈川県川崎市で開かれた自民党川崎市連のパーティーに出席。
 久々に「小泉節」を披露。もっとも最後に「親ばかの小泉純一郎です」とつけ加えることを忘れていなかった。
 10月17日にはチルドレンの会合に。
 郵政民営化選挙で八二人のチルドレンを当選させているが、いまチルドレンは厳しいところに追い詰められている。
 「大半のチルドレンは落選するのではないか」(永田町筋)と見られている。
 会合に集まったチルドレンは東京が選挙区の佐藤ゆかり氏、猪口邦子氏ら九人。
 ここでの小泉元首相の挨拶は「自民党としてではなく自分党として頑張れ」
 もっとも引退を表明しているとあって、政権の座にあったときのようなギラギラしたものは感じられなくなっている。この日は日本酒を4合近く飲んでいる。

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「ニコニコ動画」

 支持率下落の麻生太郎首相は「支持率挽回」とばかり、それはもうつぎつぎに自身を前面に出してきている。
 それも、これまでの首相では考えられなかったような奇抜なPRを。
 自らの詳しいプロフィールを網羅したパンフレットを製作。全国の組織に配布している。
 総理大臣が自分のことをなにからなにまで紹介するパンフレットを作ったのは、麻生首相が初めて。
 その内容たるや、千賀子夫人との挙式写真をはじめとした秘蔵写真。コーヒーの飲み方、愛用している靴のブランド名まで。
 「新総裁が3分でわかる」のキャッチコピー通り、プライベートなことをすべて披露している。
 それだけではない。インターネットのサイト「ニコニコ動画」を開設。
 動画の閲覧者が書き込んだ質問に、麻生首相が動画で答えるというもの。
 これまたかつてない画期的なもの。
 パンフレットは広く国民に、そして「ニコニコ動画」は若者の心をつかもうという狙いがあらわれている。
 きわめつけは秋葉原での街頭演説。オタクの聖地とも言われている秋葉原は、麻生首相にとっては政権をものにした出発地となっている。
 07年にこの秋葉原で街頭演説したことから全国に「麻生ブーム」を巻き起こした。
 麻生首相にとっても聖地。
 これからのPRがどこまで浸透し、広まっていきか。現段階ではまだその効果は見られない。
 というより、支持率下落が物語っているように即効性のものにはまだまだ。

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「女性のハートを」

 麻生太郎首相が若者の心をつかむ作戦に出ているのに対抗するように民主党小沢一郎代表はターゲットを女性にしぼっている。
 永田町における「剛腕」ぶり、そしていかつい風貌から「こわもて」のイメージが強い。
 「人相が悪いのは親のせい」とばかり言っておれないのがいまの世の中。好感度がそのまま選挙の勝敗につながってくるご時世とあって、今年に入ってからというもの、積極的なイメージ作戦を展開している。
 「テレ屋。このシャイなところがわかってもらえずに損をしている」(永田町筋)
 各世論調査の結果では民主党中心の政権を望む声が多くなっているが、いざ「首相にふさわしい人」では麻生首相に遅れをとっている。
 どうしても「こわもて」のイメージが先行してしまっている。とくに女性層に。
 そこで絞り込んでいるのが「女性のハートをつかむ」だ。
 10月19日、若い女性を対象にしたインターネット番組「世界の2分の1は女の子〜にちごじ〜」に生出演。若い女性に人気のあるタレント上原さくらさんの質問に答えている。
 その質問の内容たるや、初恋、好きな食べ物、特技、習慣といったようにあらゆるもの。
 永田町の政治部記者からは絶対に受けない質問ばかり。これに顔を赤くしながら懸命に答えていた。初恋は「10代のころ」だったそうだ。
 小沢代表がそうであるように、民主党の最大の弱点は女性からの支持が弱いこと。今後も小沢代表の「女性をつかめ」は熱を帯びそうだ。

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「刺客」

 囲碁を趣味としている民主党小沢一郎代表。その実力のほうもなかなかのもの。
 囲碁用語を持ち出して、こう声を高くしている。
 「囲碁には『大場』と『急場』がある。今の日本は『大場』というより『急場』だ」
 この急場をしのぐために「政権奪取」を。
 政権奪取のために小沢代表はつぎつぎに戦略を立てている。
 そのひとつが「刺客」作戦。
 小選挙区で150議席以上の獲得を目標にしており、そのために刺客を。05年の郵政民営化選挙で時の小泉純一郎元首相が刺客を立てて大勝したのを逆手にとってきている。
 小沢代表が刺客を差し向ける相手は、自民党の有力議員に。
 まず自民党4役である古賀誠選挙対策委員長に。それも古賀選挙対策委員長の元秘書を。
 「古賀氏に勝つということにでもなれば、それこそ自民党に大ダメージを与えることになる」(永田町筋)
 久間章生元防衛相には薬害肝炎訴訟原告の福田衣里子氏をぶつけてきている。
 丹羽雄哉元厚相には元厚生省援護局企画課長の大泉浩子氏を。
 久間元防衛相、丹羽元厚相は、ともに自民党の大幹部。
 刺客を差し向けているのは大幹部議員に対してだけではない。
 今期限りでの引退を表明している小泉元首相が、自分の後継として指名している次男の進次郎氏にも強力な刺客を。
 「政権奪取」のために、考えられるあらゆる戦略を明らかにしている小沢代表だが、この刺客作戦は自民党を緊張させ、恐怖に落としている。

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