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滋賀市民新聞(中央政界特報)

平成20年11月25日()第4873号



厳しい逆風に

 解散を見送った麻生太郎首相。先送りすることで展望は開けるか。現状は思惑とは逆になる恐れが強い。

 民主党小沢一郎代表は麻生首相の「解散見送り」をバッサリと斬っている。
 「9月末の冒頭解散が彼にとって最大のチャンスだった。決断が鈍い。もうもたないだろう」
 批判の声は与党内からも。
 中川秀直元幹事長は安倍政権、福田政権の二の舞の見方をしている。
 「民主党は問責決議案を出してくるかもしれない」
 細田博之幹事長もサジを投げてしまっている。
 「11月30日には総選挙のはずだった」
 細田幹事長は早期解散なら「勝てる」の確信を持っていた。
 町村信孝前官房長官はこうだ。
 「10カ月以内には選挙はあるはず」
 連立を組む公明党からも激しい批判の声があがっている。
 麻生首相だが、朝のウォーキングと夜会合は欠かさず。
 だが、解散については就任以来、ダッチロール状態。
 解散を見送ったことで、一気に国会は緊迫度を増してきている。
 民主党は対決姿勢を明確にしてきている。徹底して麻生首相を国会の場で追い詰めていく戦術に。
 その国会だが補給支援特措法改正案という重要法案を抱えている。
 民主党が対決姿勢を鮮明にしてきたことで、この法案の成立はまったく見通しがたたなくなってしまった。
 今国会の会期は11月30日まで。
 「会期内に成立は難しい。となれば会期延長だが、そうなればさらに民主党は攻勢をかけてくるだろう」(永田町筋)
 いままさに麻生首相は安倍晋三元首相、福田康夫前首相とおなじようになってきている。
 解散の決断が下せないでいる間に、求心力にカゲリが。
 そんなところへきて、支持率も下降線。各世論調査が発表されるたびに「危険水域」と言われる40パーセント割れに近づいていっている。
 焦りをあらわすように「定額給付金」では発言にブレが。
 「全世帯支給」から「所得制限を設ける」に発言を変更している。
 中川元幹事長が危惧しているような窮地に直面している。

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「流布する情報」

 永田町にはさまざまな情報が流れてくる。それも選挙が近くなると、それこそ情報が飛び交うことに。
 いま永田町で注目されている情報は自民党の選挙情勢情報。
 麻生太郎首相は「解散見送り」を明らかにしている。
 民主党小沢一郎代表は「どんなにがんばっても麻生首相は1月には解散せざるを得ないだろう」の見方を。
 だが自民党内には「解散先送り」の声が強くなっており、来年9月の任期切れまでささやかれている。
 そこで永田町に流れている情報。
 いま選挙をすれば自民党はどれだけの議席を獲得できるか、という情報だ。
 これによると「自民党はよくて180議席台」というなんとも厳しい数字になっている。
 この情報は自民党が行った情勢調査がもれてきているもの。
 自民党の選挙情勢調査は、麻生政権が誕生してからすでに4回行われている。
 1回目は政権発足直後、そのあと3回行われ、最も最近の調査は10月下旬に行ったもの。
 「1回目の調査にくらべ、4回目の調査では獲得予想議席が著しく少なくなっているようだ」(永田町筋)
 480議席をめぐっての戦いとなる衆院選。過半数は241議席。
 流れてきている情報通りだと、自民党は政権を失うことに。
 各世論調査の結果が情報の確かさを裏付ける形に。世論調査の結果が発表されるたびに麻生内閣の支持率はダウン。不支持率が支持率を上回った調査結果も。

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「解散先送りの余波」

 解散、総選挙は先送りに。
 「国際問題が優先する」と麻生太郎首相。
 「弱虫太郎」(民主党菅直人代表代行)と言われようと、ひたすら解散先送り。
 解散先送りへの不満の声は自民党内からも。先送りの余波は自民党、公明党の与党、それに民主党をはじめとした野党に及んでいる。
 余波は次期衆院選に出馬を狙っている立候補予定者にも。
 その一人に橋本大二郎前高知県知事がいる。
 橋本氏は今年7月1日、兄橋本龍太郎元首相の三回忌にあたる日を選び政治集団結成を発表。
 マニフェスト「大二郎の旗」も発表し、衆院選への出馬の決意を明らかにしている。
 マニフェストには「格差是正、地域自立国家」などが盛り込まれている。
 「新しい日本の舵取りをしていく集団にしたい」
 橋本氏は1947年1月12日生まれの61歳。慶応大学を卒業してNHKに入局。報道番組のキャスターで全国的に有名になっている。
 91年の高知県知事選で初当選。4期務め、知事の椅子に座ること16年。
 この間「平成の龍馬」といった呼ばれ方をされていた。
 知事から国会議員への転出。
 これについては「日本を新しくしていきたい」の考えから。
 掲げているのは「改革」だ。
 麻生首相には当面、解散の考えはない。
 「出馬」を明らかにしているが、このままでは出番がいつになるかわからない。この余波がどういったことになるか。

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「オレ流」

 麻生太郎首相は「オレ流」を常に前面に出している。
 安倍晋三元首相、福田康夫前首相がともに1年で政権を放り出したことが「オレ流」の強調につながっているようだ。
 「安倍元首相、福田前首相との違いを出すことを意識している」(永田町筋)
 民主党小沢一郎代表から「逃げている」と言われても解散を先送り。
 連夜のホテルのバー通いでも「変えることはしません」と、ホテルオークラ東京の「ハイランダー」、帝国ホテルの「ゴールデンライオン」、グランドプリンスホテル赤坂の「トップオブアカサカ」といったバーに顔を出している。持論は曲げないといったところか。
 「オレ流」といえば言葉もそう。ベランメエ口調が特徴だが、あらたまった場所では、独特な言い回しを。
 これについて麻生首相はこう説明している。
 「学習院出身だからね」
 小泉純一郎元首相、福田康夫前首相はことあるごとに「故事」を引用していた。小泉元首相が引用したのは長岡藩の小林虎三郎、江戸時代の儒学者・佐藤一斎、そして茶人・千利休らの故事を。
 福田前首相は明治時代の農村指導者・石川理之助の「井戸を掘るなら水がわくまで掘れ」や、二宮尊徳の「この秋は 雨か嵐か知らねども 今日のつとめの 田草とるなり」を引用といった具合。
 麻生首相は違う。これまでまだ故事を引用といったことはしていない。
 「自分の言葉でしゃべることを通している。これは信念からきているものではないか」(永田町筋)
 ここにも「オレ流」が出ている。

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「言動見られず」

 「あなたとは違う」の言葉が最後となった福田康夫前首相。
 辞任発表記者会見をしたのは9月1日で、退任したのは9月24日。
 政権の座に就くことわずかに1年。その後はぱったりと表舞台から姿を消したまま。これはといった言動はまったくなし。
 政権の座を降りてからまだ2カ月ほどしかたっていないのに、永田町でもまるで話題にあがらなくなっている。
 安倍晋三元首相とは大違いだ。安倍元首相も政権の座にいたのは1年。それでも、動きは活発。
 地元山口県にはもう何度も帰っている。
 発言も多く、9月の自民党総裁選では「麻生支持」を明確に。
 1年で政権の座から降りたという後遺症はどこにも感じられない。
 それどころか、復権への意欲をあらわにしている。
 「いま一度、政権ということを考えているのではないか。それもかなりの自信を持っている」(永田町筋)
 復権を視野に入れてきている安倍元首相にひきかえ、福田前首相は沈黙を通したまま。
 麻生太郎首相が解散を先送りにしてきているが、これについてもいっさい発言なしだ。
 「プライドが高い人だけに、解散を先送りしている麻生首相には複雑な気持ちでいるのではないか」(永田町筋)
 小泉純一郎元首相、河野洋平衆院議長らが今期限りでの政界引退を発表しているが、福田前首相にはその考えはない。
 「(引退)そういったことを言わないということが私の気持ちです」
 72歳、まだまだ議員活動を続けていく考えに変わりはなしだ。

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「首相の片腕」

 麻生政権になってから2カ月。いま麻生太郎首相が最も頼りとしているのは菅義偉選挙対策副委員長だ。
 菅選挙対策副委員長と麻生首相の関係が強まったのは昨年の自民党総裁選から。
 菅氏は古賀派に属しているが、派閥会長の古賀誠氏の意に反し、麻生氏を支持。福田康夫氏を支持した古賀氏と真正面から対立している。
 麻生氏が政権の座に就いたいま、菅氏はパワーアップ。
 自民党選挙対策委員長は古賀氏だが、実質的に取り仕切っているのは副委員長の菅氏。
 麻生首相と古賀氏の関係はかねてからよくない。麻生首相は選挙情勢についても菅氏のほうに相談している。
 「菅委員長といってもいいぐらい、その存在感は増している」(永田町筋)
 麻生首相に解散先送りを進言しているのも菅氏。
 ネオ・ニューリーダーのトップに躍り出てきている。
 だが、ここまでくる道のりは平坦なものではなかった。
 秋田県の高校を卒業し、集団就職列車で上野駅に。連れて行かれた職場は段ボール工場。
 ここから大奮起。2年後に法政大学に。卒業して就職したのは電気工事会社。その後「国のためにつくしたい」と政治家を目指し、法政大の先輩である中村梅吉元法相の下に。その後、小此木彦三郎元通産相の秘書に。
 横浜市議を2期務め、国政に出たのは1996年の衆院選。
 二世、三世議員ではない。すべて自力で。
 「将来の首相候補」(永田町筋)とまで言われている。

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「危機感」

 麻生太郎首相は「いまはその時期でない」と解散を先送り。
 だが「一寸先は闇」が永田町の常識。
 追い込まれた場合、麻生首相が「解散」という伝家の宝刀を抜いてくることも。
 「解散は首相だけが持っている専権事項。麻生首相の腹ひとつで、解散、総選挙は決まってくる」(永田町筋)
 選挙に怯えているのは郵政民営化選挙でどっとばかりに当選してきた小泉チルドレン。その数82人。
 地盤も選挙資金もないということで、永田町ではチルドレンに対して厳しい見方がされている。
 「ほとんどが落選し、再び国会には戻ってこれないのではないか」
 ましてやチルドレンが最も頼りにしている後ろ盾の小泉純一郎元首相は今期限りでの引退を表明。チルドレンには「選挙で頑張って」のひと言だけ。
 危機感いっぱいなのはなにもチルドレンだけではない。長老、ベテランと言われる大物議員も怯えている。
 それというのも、勝ち目のない人は差し替えようという動きが自民党内に出てきている。
 このことに言及しているのは菅義偉選挙対策副委員長。
 自民党は党独自で選挙情勢をこれまで四度行っている。
 その結果は厳しいものに。
 過半数確保には遠い数字が。この事実に麻生首相は解散先送りを。
 しかし、選挙は避けて通れないもの。そこで勝ち目のない人を斬ろうという論議に。
 名前があがっているのは党の幹部、大物議員ばかり。果たしてどうなるか。

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